外は吹雪でも店内はホットに

昨夜(13日)は盛岡アバンギャルド界の怪人ONNYKのライブでした。
怪人と書きましたが見た目はまぁ画像の通りです。
性格が怪人とか言動がおかしいというわけではないので誤解ないように。

アバンギャルドは「前衛芸術」と解釈されますが美術や演劇・舞踏などで用いられることが多いです。
もともとはフランス語(avant-garde)であって英語では(advance guard)となり
いずれも軍事用語「前衛部隊」の意味でそこから援用されたものです。
つまり「古い体制や様式などに対し攻撃をする先頭に立つ」といった意味に捉えられると思います。
日本では1960年代から1970年代初期まで様々な形で現れて一定の評価をされて来ました。
赤瀬川源平なども参加したネオ・ダダイズム・オルガナイザーズは美術・彫刻などの世界で、
名古屋で結成されたゼロ次元は「人間の行為を0に導く」といったコンセプトで全裸パフォーマンスアートを展開。
土方巽を中心とした暗黒舞踏は日本古来の伝統と前衛を混合させた踊りを。

これらの他にも多くのアーティストが登場して来ましたが多くは1970年代初頭に解散もしくは雲中霧散していきました。
そして、様々な形で再登場しているグループもあります。

音楽については帝政ロシア末期に起こったロシア・アバンギャルド(音楽に留まらずあらゆるアートにおいて展開された)が有名ですが、その後、ジャズ界においては前衛ジャズとかフリー・ジャズといった呼ばれ方で登場します。
日本でもそれらを引き継いだ(あるいは同時期的に)登場したミュージシャンも多く存在しています。
それはジャズ界に留まらず様々な音楽の形で展開されました。
特に1970年代後期には非常に多くのグループが存在しました。
それらの多くも1980年代にはその存在感を失っています。

ONNYKの音楽がそれらのどこに位置するのかは分かりません。
おそらく、本人にもそれは分からないでしょうし分かる必要もないかもしれません。
日本ではとかく、ジャンル分けをすることが多くどこに属するかによって評価が違うといった
不可思議な状態が起こることも多いのが現実です。
音楽をジャンル分けすること自体おかしな話なのですが、便宜上致し方ない部分があることも認めなければならないでしょう。
が、それをもって評価が変わるのはいかがなものでしょうか?
個人が気に入っている音楽を差別、非難することはその個人をも否定することに繋がるでしょう。
音楽を評価することと個人の趣味趣向を評価することとは違うのです。

前置きが長くなりました。
ONNYKのライブは当店初のサックスなど管楽器によるライブでした。
事前に音出し確認をして外に音が漏れることは分かっていましたが
許容範囲としてこのライブを入れていました。
それでも、狭い店内でどのような音がはじき出されるのか不安半分でしたが
実際にその音を聴いた時にはそんな不安は吹き飛びました。
かつて、フリージャズを聴いた時に感覚的に受け入れられない自分がいましたから
彼の音を受け入れられるかどうかにも不安はありました。
しかし、実際に目の前で彼の演奏を観ているとその息づかいが聴こえて来て
それだけでも引き込まれる感がありました。
そして、指でキーを押さえる音がなぜかパーカッションの音のように聴こえて来て
不思議な気分になりました。

彼はテナー、アルト、ソプラノと三本のサックスを吹き分けますが
今回はアルトとソプラノの二本を持って来ました。
と思ったら、もう一本奇妙な楽器が・・・・・
なんとフルートにサックスのマウスピースを付けたものです。
この三本での演奏でしたが個人的にはソプラノの演奏が一番よかった気が。

彼の演奏を言葉で説明するのは困難です。
と言うより、毎回ライブの報告を書いていて思うのですが
音楽を言葉で表現するのは困難ですし、あまり意味のないことかと思います。
ただ、今回はその楽器の使い方について書いておきたいと思います。

アルトサックスは本体にテナーのマウスピースを付けています。
それで何がどう変わるのか聞くのを忘れてしまいましたがフルートにマウスピースを付けたりといったことも含めて通常とは違った形での演奏を常に意識しているのでしょう。
また、マウスピースを外して吹いたりもしましたが、これは相当の肺活量が必要だと思います。
彼の体格だから出来るのかも。

お客さんは以前にも彼の演奏を聴いた方が多く熱心に聴いていました。
鬼気迫る、といった感じではありませんが彼の演奏に対する真摯な態度は
店内を埋めたお客さんたちの心に届いていたことは確かでしょう。
これは個人的な感想ですが、彼のフレーズはどこか「日本的」に聴こえました。
演奏後にそんな話を彼としたのですが彼曰く、
「以前はそんなことはなかった。今日は途中でそのことに気づいて何とか変えようと思ったけど・・・」
ということでした。
本人もやはりそのことに気づいていたんです。
彼は民謡にも興味を持って調べていたりしていますから
そこから何かインスパイアされているのかもしれません。

初の管楽器登場でしたがアクシデントもなく終了出来ました。
外は吹雪になっていましたが店内は非常にホットな演奏で満たされました。
今回、彼の演奏を聴く機会を持てなかった方、一度是非聴いてみて下さい。
アバンギャルド音楽を言葉で捉えようとすると分かりにくい・理解出来ないといったことになりますが、要するに音楽ですからまず聴くことが必要でしょう。
そして、彼のように真摯にその音楽を追究している人間たちが存在していることを理解して欲しいと思います。



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by ma.blues | 2010-03-14 15:22 | ライブ報告 | Comments(0)  

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