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野田首相の記者会見・・・・・どっち向いて話してんの?

8日に行なわれた野田首相の記者会見。
大飯原発の再稼働に関する会見だったが、一言で言い切るなら「詭弁の羅列」
政府事故調や国会事故調の結論もまだ出ておらず、原子力規制庁の中身についても具体性がない状況で簡単に大飯原発の再稼働を認めようとするために詭弁を弄しているとしか言いようがない。

平成24年6月8日
野田内閣総理大臣記者会見

大して長い文量ではないのでじっくり読んで欲しい。

冒頭で大飯原発の再稼働を認める理由として
夏場の電力需要のピークが近づき、結論を出さなければならない時期が迫りつつあります。国民生活を守る。それがこの国論を二分している問題に対して、私がよって立つ、唯一絶対の判断の基軸であります。それは国として果たさなければならない最大の責務であると信じています。
と述べている。
大飯原発を再稼働させることが国民生活を守るための方策だと言うのだ。

そして、その意味を二つに分け、一つは
次代を担う子どもたちのためにも、福島のような事故は決して起こさないということであります。福島を襲ったような地震・津波が起こっても、事故を防止できる対策と体制は整っています。これまでに得られた知見を最大限に生かし、もし万が一すべての電源が失われるような事態においても、炉心損傷に至らないことが確認をされています。
と言い、そのあとにその根拠として「安全委員会など専門家による40回以上の公開議論を積み重ねて来た知見を慎重に積み重ねて来た」ことを挙げている。

しかし、福島原発事故の本質的原因の解明はいまだになされてはいない。
先ほども書いたが政府の事故調査委員会や国会での事故調査にしても、何も結論は出ていない。
福島原発と同型の原子炉を持つ原発があちこちに存在しているにも関わらず、事故調査の結論を待たずして「安全が確認されている」と言う。
そして、その根拠が「専門家による議論の積み重ね」だと言う。

これをにわかに信じることが出来るだろうか?
だいたい、関西における電力不足にせよ、関西電力の試算に基づいてその危機を煽っている。
政府としての電力需給調査はしないのか?
この布石としてあったのがわずか一週間足らずで大飯原発の安全確認を認めたことだ。
アリバイ的な安全確認を多くの批判を無視して通した段階から現在の状況は予測出来ていたが、あまりの出来レースに開いた口が塞がらない。
しかも、単に大飯原発だけでなく現在点検等で停止している原発すべてについて同じ方法で再稼働させる意図が見え見えだ。

第二の意味として
それは計画停電や電力料金の大幅な高騰といった日常生活への悪影響をできるだけ避けるということであります。豊かで人間らしい暮らしを送るために、安価で安定した電気の存在は欠かせません。これまで、全体の約3割の電力供給を担ってきた原子力発電を今、止めてしまっては、あるいは止めたままであっては、日本の社会は立ち行きません。
と述べている。

何をか言わんや。
ここに野田の本音がはっきりと出ている。
「豊かで人間らしい暮らし」とは一体なんなのか?
野田くん、説明して欲しい。
全体の約3割の電力供給を原発が担って来たと言うが、実際には止まっている原発が数多く有り3割などとても賄っては来なかった。
従来通りの電力需給論で「豊かで人間らしい暮らし」を標榜するのは数十年前から経団連や電事連が口走っていたことと同じだ。
福島原発事故以来、そうしたCMが鳴りを潜めたが代わりに政府が言うようになるとはね。

 数%程度の節電であれば、みんなの努力で何とかできるかもしれません。しかし、関西での15%もの需給ギャップは、昨年の東日本でも体験しなかった水準であり、現実的には極めて厳しいハードルだと思います。
などと言うに至っては「おめぇは電力会社の人間か?」と聞きたくなる。

福島については
 福島で避難を余儀なくされている皆さん、福島に生きる子どもたち。そして、不安を感じる母親の皆さん。東電福島原発の事故の記憶が残る中で、多くの皆さんが原発の再起動に複雑な気持ちを持たれていることは、よく、よく理解できます。しかし、私は国政を預かるものとして、人々の日常の暮らしを守るという責務を放棄することはできません。

この物言いを理解出来る人がいるか尋ねてみたい。
賠償さえもどんな状態になって行くのか分からないような状況で「複雑な気持ちをもたれていることは、よく、よく理解できます」とよくも言えたものだ。

事故調査の結論も待たず、規制庁の設置も待たず大飯原発の再稼働を認める理由は彼が言うような「国民の暮らしを守る」ためのものでは断じてない!
明らかに電力業界、原子力村ひいては経済界との癒着によって彼自身が決めていることだ。
松下政経塾上がりの政治家がことごとくいずれかの業界と癒着していることは明らかだが、国の首相がこれほどあからさまにその構造を見せるのは珍しいと言えば珍しい。
いくら丁寧な物言いで、いくら「国民のため」と言おうが、いやらしく遜った物言いをする商人のそれと何ら変わりなく聞こえる。

「人は変わるもの」だが、状況が変化するたびに言うことがコロコロ変わる人間が一国の首相をやっていていいものか?
マニフェスト云々が取沙汰されているが、それ以前に「人間としての資質」を疑わざるを得ない。
あたかも国民に向けた目線のように見せかけ、その実は経済界への目線で結論を出してくる。
「国民」を「経済界」に置き換えて彼の発した言葉を読んでみればとてもよく納得出来るだろう。
どっかの社長でもやっていれば、儲かる会社を作れるだろうよ、野田くんは。

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by ma.blues | 2012-06-10 19:13 | 原子力関連  

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