世界はがらくたの中に

12月8日はジョン・レノンが亡くなった日だ。
そして、旧日本軍が真珠湾を奇襲攻撃した日だ。
あの太平洋戦争の開幕を意味する日に奇しくも彼は亡くなった。
彼は「Imagine」(イマジン)の中で「平和なんてないさ」と歌った。
この曲は1971年にアメリカや日本などで「It's So Hard」のカップリング曲としてシングルカットされた。
ところが、本国イギリスではその四年後1975年にシングルカットされている。
何か意味があったのだろうか・・・
(ちなみに彼の死後、全英ヒットチャートでこの曲はトップになる)

ジョンが世界に平和など存在しないと歌った時よりずっと前、大戦中のヨーロッパでヘルマン・ヘッセは「さようなら世界婦人よ」を書いた。

「さようなら世界夫人よ」
ヘルマン・ヘッセ 植村敏夫訳


世界は がらくたの中に横たわり
かつてはとても愛していたのに
今 僕等にとって死神はもはや
それほど恐ろしくはないさ

さようなら世界夫人よ さあまた
若くつやつやと身を飾れ
僕等は君の泣き声と君の笑い声には
もう飽きた

世界は僕らに愛と涙を
絶えまなく与え続けてくれた
でも僕等は君の魔法には
もう夢など持っちゃいない

さようなら世界夫人よ さあまた
若くつやつやと身を飾れ
僕等は君の泣き声と君の笑い声には
もう飽きた


ヘッセが「世界婦人」と揶揄したのはむろん女性に対してではない。
世界を意味する女性名詞であるDie WeltをFrau Weltと書き換えて母なる大地的な意味合いや自らの周りをも意味する言葉に置き換えたと思われる。
この二曲に共通する点は世界の状況を憂いていることであり、その絶望感も含まれる。

Imagine by john Lennon

Imagine there's no Heaven
It's easy if you try
No Hell below us
Above us only sky
Imagine all the people
Living for today...

Imagine there's no countries
It isn't hard to do
Nothing to kill or die for
And no religion too
Imagine all the people
Living life in peace

You may say I'm a dreamer
But I'm not the only one
I hope someday you'll join us
And the world will be as one

Imagine no possessions
I wonder if you can
No need for greed or hunger
A brotherhood of man
Imagine all the people
Sharing all the world

You may say I'm a dreamer
But I'm not the only one
I hope someday you'll join us
And the world will live as one


対訳(デイオフィスさんの訳)
想像してごらん 天国なんて無いんだと
ほら、簡単でしょう?
地面の下に地獄なんて無いし
僕たちの上には ただ空があるだけ
さあ想像してごらん みんなが
ただ今を生きているって...

想像してごらん 国なんて無いんだと
そんなに難しくないでしょう?
殺す理由も死ぬ理由も無く
そして宗教も無い
さあ想像してごらん みんなが
ただ平和に生きているって...

僕のことを夢想家だと言うかもしれないね
でも僕一人じゃないはず
いつかあなたもみんな仲間になって
きっと世界はひとつになるんだ

想像してごらん 何も所有しないって
あなたなら出来ると思うよ
欲張ったり飢えることも無い
人はみんな兄弟なんだって
想像してごらん みんなが
世界を分かち合うんだって...

僕のことを夢想家だと言うかもしれないね
でも僕一人じゃないはず
いつかあなたもみんな仲間になって
そして世界はきっとひとつになるんだ


「イマジン」の方が希望を感じられる歌詞に読めるが、どちらも同じ方向を見つめている気がする。
時を隔てて同じように世界を憂う詩が生まれ世界中へ広まっていることに少々愕然とする。

ご存知のように「イマジン」はアメリカでのテロ後、放送禁止となった。
ジョンは特定の宗教を目指したわけでもなくテロを推奨したのでもない。
権力者は自分たちの存在を脅かすものに対しては敏感だ。
放送禁止などという強制措置を採ったとしてもこの詩は永遠に人々によって歌い継がれるだろう。

「さようなら世界婦人よ」は頭脳警察のPantaが高校生の頃に曲を付け、70年代初頭に録音されている。
そして、この曲の入ったアルバム「頭脳警察Ⅱ」は当時発売禁止となった。
この曲が槍玉に挙げられたと言うより彼らの作る楽曲全体に対する権力者の恐怖感がそうさせたのだろうが。

今の世界はどうなのだろう?
平和は見えているのだろうか?
がらくたの中に横たわってはいないだろうか・・・
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by ma.blues | 2015-12-09 00:57 | 社会全般 | Comments(0)  

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